健康のためのリフォーム

健康のためのリフォーム

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1.健康に配慮した家づくり

健康を害さない家づくりですが、最近建材に含まれる化学物質が原因で湿疹や下痢、頭痛などを訴える人が、新築や増築した入居者に増えています。 こうした症状は、シックハウス症候群といわれ、欧米では80年代前半から問題になっていました。現在、建材に使われている塗料や接着剤にはホルムアルデヒド、トルエンなどの有機溶剤、床下にまかれる白アリ駆除剤、室内の防カビ、防ダニ処理に用いられる有機リン系の農薬成分など身体に異常を起こす物質がたくさんあります。 増築、新築には化学物質をできるだけ含まない建材選びをしたいものです。

 

厳密に言うと住んでいる気候風土によって、具体的な対策に地域差があります。例えば、白アリ対策も大阪近辺では、イエシロアリの生棲圏に入りますので、ヒバ油、木酢液、柿渋、天然塗料メーカーの防腐、防虫剤などを土台に塗った方がよいでしょう。 床と天井に杉の無垢材、壁はビニールクロスを使わず低公害の布クロスや和紙を有害物質を発生しにくい澱粉系ののりや、メチルセルローズ樹脂系の接着剤を使います。 下地材にはノンホルム合板を使うようにします。土台と構造材には桧やヒバの芯持材を使うなど、これは住宅金融公庫の融資の対象にもなっています。

2.湿気対策

湿気について、まず考えられる原因は、敷地の排水と床下換気が充分に行われていないということです。床下換気について基本的には、建築基準法施行令第22条(居室の床の高さ及び防湿方法)に
「床の高さが45cm以上とすること 」
「外壁の床下部分には、壁の長さ5m以下ごとに、面積300平方センチメートル以上の換気孔を設け、これにねずみの侵入を防ぐための設備をすること」
とあります。


規則通り換気孔が作られてもその換気孔の前に物を置いていないか確かめましょう。次に床下を点検し、湿気の有無を調べ、どこか水もれ箇所がないか点検します。 ほかに、雨もり、壁の中の断熱材に水分が浸透している場合もあるので、床下部分に床下換気扇を取り付け強制換気をし、窓を開けて通風を図ります。 それでも湿気がとれない時は、湿気のひどい部屋の壁を外して調べ、問題があれば改修工事が必要となります。

湿気の解決法としては、次の3つがポイントとなります。

 

(1)湿気の排出

 通風のよいプランにする
湿気を含んだ汚れた空気がある程度は自然に換気されるように、窓の開口部の位置や向き、大きさなどを充分検討しましょう。

 換気扇の活用
室内に閉じ込められた空気は汚れやすく、結露などさまざまな弊害をもたらします。空気をクリーンに保つためには、換気扇による機械換気も必要です。

 

(2)湿気を取り除く

 除湿機能付の空調機器の利用
除湿専用の除湿機もありますが、最近のエアコンは冷暖房のほかに、除湿・空気清浄・脱臭などの機能を持っています。 除湿機能(ドライ機能)も、能力的にパワーアップしており、本格的な除湿や湿度コントロールのできるものが増えてきています。

 水回り空間の換気設備の充実
家の中の湿気が発生しやすいのは、やはりキッチン・浴室・洗面室・トイレなどの水や熱をよく使う場所です。なるべく、ほかの部屋に湿気が広がる前に、すみやかに戸外に排出できる工夫をしたいものです。

 

(3)湿気を出さない

いくら機械的に除湿しても、中に住む人が湿気を出しっぱなしにしていたのでは、効果がありません。極力、室内に湿気を出さないようにし、出した湿気はすみやかに戸外へ排出しましょう。
湿気を出さないための住まい方の工夫は、次のとおりです。

 石油ストーブなどで湯を沸かさない。

 室内に洗濯物を干さない。

 乾燥機を屋内で使わない。屋内に置く場合は排気を外に排出するタイプにする。

 雨の日は窓を開けない。

 調理中は換気扇を回す。

 入浴後は30分~1時間、浴室換気をする。

 窓ガラスにできた水滴はこまめにふく。

 外壁に面して家具を置く場合は壁と家具の間に少しすきまをつくる。

 外壁に面した押し入れには乾燥剤や除湿材を入れておく。

 3.住まいのアレルギー対策

アレルギーの原因となるダニやカビの発生を防ぐために、通気・換気、除湿、住まい方の工夫に気を配り、家の中に湿気をためないことが大切です。

 

ここ数年、アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎、気管支ぜんそくといったアレルギーに悩む人が増えています。アレルギーは体内でアレルギーを引き起こす「要因」が、身の周りの「アレルゲン(アレルギーの原因となる物質)」に反応して起こります。

 

このアレルゲンとして最近、問題になっているのが、室内のチリやホコリの中にいる「ダニ」や「カビ」です。 ダニやカビが飛ばす胞子などがハウスダストとなって空気中を舞い、鼻やのどの粘膜、皮膚から侵入してアレルギーを起こすのです。
ダニは気温20~30度、湿度60%以上で繁殖します。昔の木造住宅では隙間風が多いため、自然に充分な換気が行われていました。 しかし、現在の住まいはアルミサッシや断熱材の普及、マンションの増加など、気密性・断熱性の高いものになり、換気が悪くなっています。 換気の悪い部屋で湿度が上がると、ダニの好む高温多湿状態になります。人間にとって快適な環境は、実はダニにとっても快適であるというわけです。

 

また、さらに湿度が80%以上になるとダニの他にカビも発生します。断熱性の高い室内は1年中暖かく、結露などでじめじめしていると、カビの温床になるわけです。
いずれにせよ、ダニ・カビを防ぐには、家の中の湿気をためないことが何よりも大切です。そのためには次のような対策があります。

 

湿気を戸外に排出する事 = 通気・換気
湿気を取り除く = 除湿
湿気を出さない = 住まい方の工夫

 

具体的な方法としては、通風配慮したプランにしたり、除湿効果のある建築材料を使用するほか、除湿機能のある住宅設備を利用する方法があります。 また、ダニはホコリやフケをエサにして、ホコリやゴミの中など、潜って産卵できる場所で繁殖します。そのため、床に敷いたカ-ペットが彼らの温床となりがちです。 まず、カーペットをフローリングに変更することをお勧めします。

4.押し入れの結露対策

結露は湿気を多く含んだ暖かい空気が冷たい壁面や壁内部にふれた時に発生します。
奥が外壁と、直接隣り合ってる部分の押し入れや、北側の押し入れに結露しやすいようです。結露は壁面と室内の空気の温度差により空気中の水分が飽和状態になった場合に生じます。 したがって急激な温度差が生じないように、押し入れ内部と床の断熱性能をよくするため、断熱材を貼ります。

 

断熱材には、木質セメント板、発泡ガラス、高発泡ポリエチレン系、炭化発泡コルク、杉などの木材を使います。 さらに、空気が常に流通できるように、押し入れ内部の周囲に5~6cmのすき間を作った木製の枠を、床にすのこ板を置くと、結露防止に効果があります。 補修は、湿度の低い晴れた日に、押し入れ内部の湿気を完全に除去してから行ってください。

5.結露対策

断熱性の高い現代の住まいは結露でジメジメしていると、カビの温床となり、人体に悪影響を及ぼすばかりでなく、住まいの壁や天井にシミをつくったり、白アリの発生の原因となったりと、放っておくと住まいの寿命さえ縮めることにもなります。

 

住まいで発生する結露には二つのタイプがあります。一つは窓ガラスや壁の表面などにできる「表面結露」、もう一つは壁の内部にできる「内部結露」です。 内部結露は室内の内装材料を透過した湿気が壁に冷やされてできます。

 

結露を防ぐには湿気を出さない住まい方のほかに、住戸内での大きな温度差や、戸外に接する部分での温度差をつくらないことが大切です。
表面結露を防ぐにはまず、壁や窓が外気によって冷やされないよう、壁の内部に断熱材を充分入れるほか、窓を2重ガラスなどにすることです。

 

内部結露を防ぐには湿度の高い室内空気が壁内部に入り込むのを防げばよいわけですから、アスファルト防湿紙などの防湿材を壁クロスの内側に入れたり、内装材そのものを防湿性の高い材料で仕上げることが求められます。

 

廊下や洗面室も水平に手すりがあると移動が安全にできます。階段は、手すりを持って落下を免れた経験をもつ方も多いと思いますが、下りる時のきき手側に付けます。 ただし、手すりは壁面から10cm近く出っ張るので、階段幅が建築基準法の有効75cm を取れなくなることがあり、注意が必要です。 手すりの高さは、身長にもよりますが、80cmが標準で、使う人に合わせて調整してください。いずれの場合もしっかりした下地、例えば 12mmの構造用合板などを貼ってから取り付ける必要があります。

 

6.カビ対策

カビは気温20度以上、湿度70%以上で栄養となるものが存在する時に発生するといわれています。いわゆる高温多湿状態がカビ発生の原因なので、対策としては、この三つの要素の一つを取り除くことを考えます。 栄養物はごく微量でもあれば発生条件となり除去はむずかしいので、湿度を除去する対策を講じます。

 

新築間もない場合でも、入居されるまでの期間が長かった時など、湿気がたまることもあります。家全体の通風状態、よく乾燥されてないままの下地を使った建材によるもの、床下換気が不充分など原因を調べて改善しますが、まず第一に、換気をこまめにし、カビ発生原因となる結露をさせないよう注意してください。

 

壁の材料には、水分の吸収、放出が自然にできる天然の木の板や、ノンホルム合板、珪藻土を使ったり、下地材にプラスターボードを貼った上に和紙や、麻、綿など安全性の高いクロス貼りにすると、化学物質を使った建材による室内汚染を防ぎ、日本の気候風土に合った家づくりの材料として好ましく、カビの発生も防げます。