リフォームについての法的規制

リフォームについての法的規制

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 1.擁壁改修の法的規制

擁壁を造り替えるについての法的規制は、建築基準法施行令第142条にあるように、構造は、鉄筋コンクリート造、石造その他これらに類する腐らない材料を用います。
石造の擁壁は、裏込めにコンクリートを用い、石と石とを充分に結合すること。擁壁の裏面の排水をよくするために水抜穴を設け、擁壁の裏面で水抜穴の周辺に砂利等をつめること、とされています。さらに、宅地造成等規制法施行令「第二章 宅地造成に関する工事の技術的基準」の第10条(擁壁の水抜穴)では、擁壁の裏面には、その裏面の排水をよくするため、壁面積3平方メートル以内ごとに少なくとも一個の内径が7.5cm以上の陶管その他これに類する耐水材料を用いた水抜穴を設け、擁壁の裏面で水抜穴の周辺その他必要な場所には、砂利等の透水層を設けなければならない、としています。
排水施設については、第13条、第14条で示されており、排水施設は、その管渠の勾配及び断面積が、その排除すべき雨水その他の地表水を支障なく流下させることができるようなものでなくてはならない、としています。 上記を参考にして、基準通りの改修をしてください。

 

2.中古マンションのリフォーム

築25年を超える中古マンションは本来住宅金融公庫の融資の対象となりませんが、所定のリフォームをすることで融資が受けられ、融資額も最高200万円増加となります。通常住宅金融公庫の中古マンションの融資は築25年以内のマンションに対して返済期間20年以内で融資が受けられます。
優良中古マンションと判定されると築年数が25年を超えても融資の対象となり、返済期間も一定の条件を満たすと30年と長くなるので購入可能者の範囲が広がり、売却に有利となります。どのようなマンションが優良中古マンションとされるかは住宅金融公庫の所定の建築事務所で判定され、マンションの大規模修繕を円滑にできるという維持管理体制、現在の管理状況が適切であるなど(維持管理状況)の観点から判断されます。具体的には次の事項が調査の対象となります。
まず維持管理体制の判定では長期修繕計画についての取り決め、設計図書の保管や管理委託契約の内容について調査され、維持管理状況の判定としては共有部分や専有部分の維持管理状況の適、不適を判定したり、修繕積み立て金の積み立て状況や経理の明瞭性などを判定します。そのほか居住性も優良かどうか判定されます。

 

3.一戸建て住宅の増築の法的制限

自分の敷地といえども、建てられる家の面積には制限があります。増築の場合は特に注意が必要です。
建てられる面積を決めるのは、あなたの家の建っている土地の「建ぺい率」と「容積率」です。
建ぺい率とは「敷地面積のうち、建物を建てられる面積(建築面積)の割合」のことで、容積率は「敷地面積に対する建物の延べ床面積の割合」のことです。

まず、次の点について調査をしてください。

 

(1) 市役所の都市計画課または、建設課、道路課でご自宅の用途地域や建ぺい率、容積率、前面道路の幅員、高さ制限などを調べます。

(2) 法務局に行き、自宅の敷地の大きさ、建物床面積などを調べます。

 

容積率はあなたの家の前の道路の幅員に影響を受けます。用途地域が住居地域なら、次に算出した数値と建築基準法で決められた容積率のどちらか小さい方が優先されます。前面道路が4mの場合は、(10分の4)×4=10分の16で160%、建築基準法で決められた容積率が100%であれば、小さい方の100%が優先されます。 建ぺい率は前面道路とは関係がありませんが、角地や、防火地域などの場合は10分の1加算されたりする特別の取り扱いがあり、10%~20%多く増築できます。
建築面積とは分かりやすくいうと、あなたの家の真上から光を当てた場合、敷地にできる影の面積です。2階が1階に比べて大きいとか、出っ張っているような場合は、1階床面積より、建築面積の方が大きくなるので注意が必要です。このように「建ぺい率」と「容積率」によって、その敷地に建てられる建物の面積の限度が決められています。

 

また、面積のほかに周りの環境や日照を守るため、家の高さにも制限があります。

 

都市計画法では良好な都市環境をまもるため、その地域内の建築行為や開発を規定する「用途地域」を指定しています。用途地域は全部で12種類ありますが、そのうち第一種低層住居専用地域、第ニ種低層住居専用地域では、建物の高さは10m以内、または12m以内とされています。よってこの地域内では4階建て以上の住宅は建てられません。
このほかに、

隣地斜線:隣地や道路の通風、採光をまもるための高さ制限
北側斜線:北側にある家の採光をまもるための高さ制限
日影規制:一定時間以上隣地に影を落としてはいけないという高さ制限

などがあります。
屋根の形や庇の長さ、屋根裏収納を考える際にも、こうした規制があることも覚えておいてください。

 

4.目隠しの設置

増築の場合は建築基準法の規定だけでなく、民法の規定も関連してきます。増築の結果、隣地境界線から1m以内に窓や縁側を造ることになった場合は目隠しを設置する義務があります。ただし、1m以内に窓や縁側をつくるのが慣行になっている地域であれば、必要ありません。
法的な規制をクリアしていても、特に家が建て込んでいる住宅地では、隣家に思わぬ迷惑をかけてしまう場合もあります。逆に「増築したリビングが隣家のトイレと近くなってしまった」というように、せっかくお金をかけてリフォームしたのに困ったことになるケースもあります。隣家への気配りは、同時にわが家への気配りでもあるのです。
工事が終わってからでは手遅れですので、隣家との関係はよく検討しておきましょう。以下にチェックポイントをあげておきます。1 隣家のどんな部屋がこちらを向いているか、とくにリビング、キッチン

 

 1 トイレ、風呂(視線対策)

 2 換気扇、エアコン室外機の位置は(騒音対策)

 3 隣家との敷地に高低差はあるか(排水・雨水対策)

 4 大きな樹木がこちらにかぶさっていないか(落葉対策・日照対策)

5.床面積・ベランダ・ポーチ

ポーチ、ピロティは基本的には床面積には算入されません。ただし、ポーチの部分をシャッターや扉、囲いで区画すれば床面積に算入されます。ベランダや庇は奥行きが2mを超えた場合、その部分については床面積に算入されます。

 

6.防火地域での増築の規制

防火地域や準防火地域は、市街地における火災の危険を防除するため、都市計画法で指定されています。この指定地域内では、原則として耐火建築物もしくは準耐火建築物しか建築することはできません。

例外的な取り扱いとして、50平方メートル以下で平屋建ての付属建物で、外壁および軒裏が防火構造であれば認められるので、こうした構造にすると増築が可能です。
※ただし建ペイ率、容積率は必要

7.建ぺい率(用途地域の変更)

建築時に法規に合致した建物であっても、その後の用途地域の変更などにより法規に違反した建物になっていた場合は「既存不適格建築物」として違反建築とは別の取り扱いになります。
しかし、この建物を増築・改築する場合は、現行の法規に合致したものとするのが原則となっています。